生前整理というと、持ち物を減らす話になりがちです。ただ、減らす前にやったほうがよいことがあります。床に置かれた物をどけて、歩ける状態にすることです。
親に「捨てよう」と言っても進まないのに、「ここでつまずくと危ない」なら通じることがあります。片づけの目的が変わるからです。
転倒の半分は、自宅で起きている
消費者庁は2020年10月8日の注意喚起で、こう示しています。
転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で発生しています
住み慣れた家だから安全、ということはありません。むしろ長く住んでいる家ほど、物が増えて通路が狭くなっています。
同じ資料では、事故が起きやすい場所として次が挙げられています。
- 浴室・脱衣所
- 庭・駐車場
- ベッド・布団
- 玄関・勝手口
- 階段
片づけで手を入れられるのは、このうち玄関・階段・ベッドまわりです。ここから始めます。
先に手をつける4か所
1. 玄関から部屋までの通路
玄関に物が置かれていると、靴を脱いだ直後といういちばん不安定な姿勢のときに、よけて歩くことになります。
まず通路の幅を確保します。置いてある物を減らすのではなく、まずどかすだけで効きます。
2. 階段と、その上下
階段そのものより、上り口と下り口に物が置かれていることが多くあります。荷物を一時的に置く場所になりがちだからです。
ここは常に空けておく場所だと決めてしまいます。
3. ベッド・布団のまわり
夜中に起きたときの動線です。暗い中で足を下ろす場所に、物が置かれていないかを見ます。
ベッドから起き上がる側と、部屋の出口までの間を空けます。
4. 電源コード
消費者庁は対策のひとつとして、こう示しています。
電源コードが通り道にこないように、電気製品を置きましょう
延長コードが部屋を横切っていないかを確認します。物を減らさなくても、電気製品の位置を変えるだけで済みます。
減らすより先に、どかす
生前整理でつまずくのは、たいてい「捨てる・捨てない」の判断です。判断は時間がかかりますし、本人が納得しないまま進めると関係が悪くなります。
一方、通路にある物を壁際に寄せるだけなら、捨てる判断は要りません。それでも転ぶ危険は下がります。
- 床に直接置かれている物を、通路から外す
- すぐ使う物だけを、手の届く高さに残す
- 使っていない物を、一か所にまとめる
- まとめた物の要不要を、あとから決める
4番目まで一度にやろうとしないでください。1〜3で、その日の目的は果たせています。
高いところと低いところ
物を戻す場所を決めるとき、高さを見ます。
- 踏み台に乗らないと届かない場所には、日常的に使う物を置かない
- しゃがまないと取れない場所も、同じように避ける
- よく使う物は、立ったまま手が届く高さに集める
高いところの物を取ろうとして踏み台から落ちる、という事故があります。置き場所を変えれば、踏み台に乗る回数自体を減らせます。
親の家でやるとき
安全の話であっても、勝手に動かすと反発されます。物の場所が変わって分からなくなると、本人が困るからです。
- どかす前に、どこへ移すかを本人に言う
- 捨てる話は、この段階では持ち出さない
- 一度に全部やらず、通路だけで終える
「片づけに来た」ではなく「つまずきそうなところを見に来た」として入ると、話が進みやすくなります。
これは、あとの片づけも楽にする
通路が空いていると、あとで大きな物を運び出すときに作業ができます。実家じまいや遺品整理まで見据えるなら、通路の確保は最初にやっておく価値があります。
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出典
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