賃貸住宅の遺品整理|急かされても、勝手に処分できない理由

賃貸住宅の遺品整理|急かされても、勝手に処分できない理由 の要点 遺品整理

賃貸住宅に一人で住んでいた家族が亡くなったとき、片づけは持ち家より急かされます。家賃が発生し続けるため、大家や管理会社から早く空けてほしいと言われるからです。

ただし、急がされるまま動くと困ることがあります。部屋に残された物を処分してよい人は、限られているためです。

残された物は、自動的に相続人の物になる

国土交通省は、賃借人が亡くなったあとの状態をこう説明しています。

賃借人の死亡後、賃借権と居室内に残された家財の所有権は、その相続人に承継されるため、相続人の有無や所在が分からない場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあり

つまり、部屋の中の物は亡くなった時点で相続人の所有物になっています。大家の物ではありませんし、同居していなかった親族の物でもありません。

ここから、次のことが言えます。

  • 大家や管理会社が、勝手に中の物を処分することはできない
  • 相続人でない人が、頼まれても独断で処分するのは避けたほうがよい
  • 相続人が複数いるなら、その全員に関わる話になる

「早く空けてください」と言われても、誰が処分してよい立場なのかを先に確かめてください。

先に確認する4つ

1. 賃貸借契約が誰の名義か

契約書を探します。名義人が亡くなった本人なのか、別の家族なのかで、そのあとの手続きが変わります。

2. 相続人が誰か、連絡がつくか

兄弟姉妹や甥姪まで含めて、相続人にあたる人がいるかを確認します。連絡がつかない相続人がいる場合、独断で進めないでください。

3. 家賃がいつまで発生するか

解約の申し入れから何か月分が必要かは、契約書に書かれています。急ぐ理由がここにあるので、金額と期限を把握しておきます。

4. 部屋の中を、先に記録する

作業を始める前に、各部屋の写真を撮っておきます。あとから「あれはどうしたのか」と聞かれたときに答えられます。相続人が複数いるときは特に効きます。

備えておける契約がある

国土交通省と法務省は、令和3年6月7日に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています。単身高齢者(60歳以上の者)が賃貸住宅に入居するときに使うことを想定した、契約のひな形です。

これは2つの契約からできています。

  • 解除関係事務委任契約|受任者に、賃借人の死亡後に賃貸借契約を解除する代理権を与えておく
  • 残置物関係事務委託契約|受任者に、死亡から一定期間が過ぎたあと、残置物を廃棄したり、指定した送付先へ送ったりする事務を委託しておく

あらかじめ決めておけるので、亡くなったあとに「誰が動いてよいのか分からない」という状態を避けられます。送ってほしい物と送り先を指定しておくこともできます。

令和7年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法では、入居者からの委託にもとづく残置物処理が、居住支援法人の業務に加えられました。

今まさに片づけている人には間に合いませんが、これから一人暮らしを始める親がいるなら、入居のときに検討できます。

作業の順番

  1. 契約書と、部屋の鍵の本数を確認する
  2. 相続人が誰かを確認し、連絡を取る
  3. 大家・管理会社に、明け渡しの期限を確認する
  4. 部屋の写真を撮る
  5. 書類・通帳・印鑑・鍵など、探す物を先に探す
  6. 粗大ごみを申し込む(回収まで日数がかかります)
  7. 残りを分けて運び出す

粗大ごみは申し込みから回収まで日数がかかるため、明け渡しの期限が決まっているなら真っ先に申し込みます。

設備を壊さないようにする

賃貸では、退去時に原状回復の話が出ます。作業中に壁や床を傷つけると、そこも負担することになります。

  • 大きな家具を運ぶ前に、壁や柱の角を養生する
  • 引きずらず、持ち上げて動かす
  • 作業する人を増やして、無理に一人で運ばない

急いでいるときほど雑になります。期限が迫っているなら、人手を増やすほうが結果的に安く済むことがあります。

一人で抱えないでよい

賃貸の片づけは、期限があるぶん精神的にこたえます。相続人が複数いるなら分担してください。

それでも手が足りないときは業者に頼む選択があります。頼む前に確認することは、別の記事にまとめています。

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出典

賃貸借契約の内容や、相続人にあたる範囲は事案ごとに異なります。判断に迷うときは、弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。このサイトでは費用の相場を掲載していません。理由は免責事項に書いています。

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